Research
初期家賃調査の設計と限界(2026年10月)
本サイトが2026年10月に実施した初期家賃調査の設計を公開します。募集賃料と実契約賃料の定義、間取り・契約期間・観測月の扱い、重複除去、公表の閾値、そして本調査が主張しないことを説明します。
目的
本記事は、本サイトがバンコク5地区(オンヌット・プロンポン・アソーク・サトーン・トンロー)で実施した初期家賃調査の設計を説明するものです。結果の数値は各地区ハブに掲載し、本記事では方法と限界のみを扱います。
定義
- 募集賃料:物件サイトや仲介会社の掲載に示された月額の提示額。交渉前の金額であり、実際の支払額とは異なる
- 実契約賃料:契約書に記載された月額。本調査では収集しておらず、今後、取材や住民申告で得た場合も募集賃料とは別の系列として扱う
- 間取り:スタジオ(寝室が区切られていない)、1BR(寝室1)、2BR(寝室2)に分類。面積は補助情報として記録するが、分類の軸にはしない
- 契約期間:掲載に明示された最短契約期間。12か月を基準とし、6か月以下の短期可物件は別系列として記録する
- 観測月:掲載を確認した月。本調査は2026年10月を観測月とし、月をまたいだ掲載は最初に確認した月に帰属させる
- 生活圏:行政区ではなく、最寄り駅から徒歩で日常生活が成立する範囲を編集部が定めたもの。範囲は各地区ハブに記載する
重複除去
同一物件が複数の掲載に現れる場合、建物名・階数・面積・間取り・賃料の組み合わせで同一と判断し、1件として数えます。同じ建物内の別の部屋は別件として扱います。掲載日が不明なものは観測月に含めますが、明らかに長期間更新されていない掲載は除外対象として記録します。
公表の閾値
- 20件以上:代表値(中央値または四分位範囲)の掲載を検討する
- 10〜19件:参考集計として、幅(下限〜上限)のみを掲載する
- 10件未満:集計せず、個別例として記載する
閾値は地区×間取りの組み合わせごとに適用します。件数が閾値を満たしても、掲載元の偏り(特定の仲介会社に集中しているなど)が強い場合は、注記を付けるか掲載を保留します。
本調査が主張しないこと
- 実契約賃料の水準。募集賃料から交渉で下がる例があることは知られていますが、その幅は本調査では分かりません
- 地区全体の家賃相場。本調査は編集部が定めた生活圏の、観測月に掲載されていた物件のみを対象としています
- 時系列の変化。観測月が1か月のため、上昇・下落の傾向は判断できません
- 市全体の物価との関係。生活圏の家賃と市全体の物価は別の指標として扱います
限界と今後
掲載情報は仲介会社の方針や物件の供給状況に左右され、観測月の件数も地区によって偏ります。本サイトでは、観測月を重ねて時系列を蓄積し、閾値を満たした組み合わせから順に代表値の掲載を検討します。編集基準の詳細は集計方法・編集基準に記載しています。